JA共済の医療共済には入っておくべき?
JA共済の医療共済と医療保険ならどちらに入るべき?
いま、何も保険に入っていないので何か保険に入ろうと思っています。
ずっとJA共済の口座を使っていて、窓口ですすめられているのでJA共済の医療共済に入ろうかと思っているんですが、何か他の保険も検討しておいた方が良いでしょうか?
入院をしたときのことに備えたいと考えています。
共済保険の中でも、特に知名度が高いと言えるのがJA共済です。
テレビCMも多く行っており、聞いたことがない人はいないのではないでしょうか。
また、実際に加入している方も多くいらっしゃいます。
それはやはり、JAの窓口が街の中に存在しているということも大きいです。
私自身もJAの口座を持っていて利用していますが、窓口で保険の勧誘を受けることもあります。
また、お年寄りや地域の方が窓口で話を聞いて加入している場面を目にすることもありますが、やはり窓口で共済保険を提案できるというのは強みであると感じます。
そのため、加入者が多いのも納得です。
そもそもJA共済とは?
まず、そもそもJA共済とはどんな団体であるかですが、JA共済はJA共済連(全国共済農業協同組合連合会)という団体がが運営するJA(農業協同組合)組合員のための保険機構です。
JAは正式名称を農業協同組合と言い、農業を行っている方のための団体です。
農業を行っている方のための団体であるため、JA共済の主目的はJA組合員の方のための共済ですが、組合員以外の方にも共済保険を提供することが可能となっています。
そのため、農業を行っていない地域住民であっても、JA共済に加入することが可能となっています。
JA共済は保険の種類が豊富
共済というと、安くてシンプルな保険というイメージを持たれる方が多いと思います。
でも、JA共済は必ずしもシンプルな保険だけを扱っているわけではありません。
JA共済は「共済」という名前は付いていますが、保険会社に負けず劣らずさまざまな共済保険を発売しています。
そのため、単純に共済だからシンプルな保険であるというイメージがあてはまりません。
では、そんなJA共済と保険会社の医療保険を比べた場合、どちらに入っておいた方が良いのでしょうか。
このページで細かく検討していきます。
JA共済の医療共済と保険会社の医療保険を比べてみよう!
それぞれの終身医療保険を比較
さっそく、JA共済の共済保険と保険会社の医療保険を比較してみます。
比較を行うにあたっては、JA共済も保険会社もそれぞれ「終身タイプ」の医療保険を用います。
実際に比較を行うのは、それぞれ次の保険です。
- JA共済:「医療共済」
- 保険会社:メットライフ生命「フレキシィ S」
これらは両方とも、入院時の保障を目的とした一生涯保障の終身医療保険です。
なお、比較を行うにあたっては、条件をそろえるために次の条件で保険料の算出等を行います。
- 年齢性別:35歳男性
- 保険料払込期間:終身
- 入院給付:5,000円
- 入院給付日数:60日
- 特約:先進医療特約+通院保障特約+三大疾病または七大疾病保障特約
保障内容の比較一覧
JA共済 医療共済 |
メットライフ生命 フレキシィ S |
|
---|---|---|
入院給付金額 | 5,000円 | 5,000円 |
1入院当たりの入院給付日数 | 60日まで 120日、200日も選択可 |
60日まで 120日も選択可 |
入院見舞金 | 1回の入院で5万円 | 無し |
死亡給付金額 | 無し | 無し |
手術給付金額 | 入院中:10万円 外来:2万5千円 |
入院中:10万円 外来:2万5千円 |
通院時の保障 | 無し | 1回3,000円 病気やケガによる入院後の通院のみ |
放射線治療給付 | 1回につき5万円 | 1回につき10万円 |
先進医療保障 | 通算1,000万円まで+医療費の10%(上限30万円) | 通算2,000万円まで+一時金5万円 |
女性用プラン | 無し | 有り 女性特有の疾病で入院給付金5,000円上乗せ |
付加できる特約保障 | 先進医療特則、三大疾病重点保障特則、入院見舞金特則、がん重点保障特則、 | 先進医療特約、7疾病での入院延長特約、がん保障特約、健康祝い金特約、死亡・高度障害特約 |
年途中の割戻金 | 有り(毎年変動) | 無し |
保険の保障期間 | 一生涯保障の終身保険 | 一生涯保障の終身保険 |
付帯サービス等 | 無し | TPECの健康相談サービスが付帯 |
保険料払込期間 | 99歳まで | 終身 |
保険料(掛金) | 4,453円 | 2,401円 |
保障内容の最も大きな違いは「通院保障」の有無
以上がそれぞれの保険商品の内容の比較です。
両社とも、存在している保障項目にはそこまで大きな違いはありません。
保障される金額に若干の違いはありますが、基本的な保障は揃っているといえます。
ただ、1つだけ大きな違いとなっているのが「通院保障」の有無です。
メットライフ生命には通院保障がありますが、JA共済には通院保障はありません。
通院保障とは、入院に伴って通院をした場合に1日当たり3,000円~5,000円程度の給付金が支払われるものです。
いわば、入院給付の通院版と言えます。
JA共済の医療共済は入院の保障を重視している
両社の保険を比べた際、JA共済は入院時の保障の方に力を入れているといえます。
それは次の点からも明らかです。
- 入院給付の日数の選択肢が多い
- 入院見舞金が存在する
これは安心感がありますが、ただ1つ気がかりな点もあります。
それは、近年では入院日数の短縮化が進んでいるということです。
入院日数の短縮化に伴い増大する通院保障の重要性
入院日数は年々短縮されている
病気やケガで手術を受けると、長期間入院するというイメージがあります。
でも、それは過去のものになりつつあります。
現在では、病院への入院日数が短縮されていっています。
入院日数が短くなっていっているのは、厚生労働省の統計調査を見てみると非常に分かりやすいです。
3年ごとのデータになりますが、次のとおり各疾病での入院日数が短くなっていっています。
疾病分類 | 平成17年 | 平成20年 | 平成23年 | 平成26年 |
---|---|---|---|---|
結核 | 34.6日 | 26.8日 | 22.6日 | 19.9日 |
胃の悪性新生物(がん) | 71.9日 | 60.3日 | 65.4日 | 58.7日 |
結腸及び直腸の悪性新生物 (がん) | 30.7日 | 19.2日 | 17.5日 | 18.0日 |
肝及び肝内胆管の悪性新生物(がん) | 26.9日 | 22.4日 | 18.6日 | 18.8日 |
気管,気管支及び肺の悪性新生物(がん) | 34.1日 | 27.2日 | 21.7日 | 20.9日 |
乳房の悪性新生物(がん) | データ無し | データ無し | 11.8日 | 12.5日 |
糖尿病 | 34.4日 | 38.6日 | 36.1日 | 35.5日 |
高血圧性疾患 | 41.4日 | 45.8日 | 41.2日 | 60.5日 |
心疾患(高血圧性のものを除く) | 27.8日 | 24.2日 | 21.9日 | 20.3日 |
脳血管疾患 | 101.7日 | 104.7日 | 93.0日 | 89.5日 |
肝疾患 | 30.0日 | 29.8日 | 27.4日 | 25.8日 |
出典:厚生労働省『患者調査(平成17年~平成26年)』
ほとんどの疾病で短縮傾向にある
以上の表のように、多くの疾病で入院日数が短縮傾向にあります。
一部、「高血圧性疾患」のように直近で日数が増えているものもありますが、日数が短くなっているものがほとんどです。
特に、悪性新生物(がん)では、平成26年調査での平均入院日数が20日間を切っているものも多いです。
がんと言えば、入院して手術を受け病院で治療を続けるイメージがありましたが、現在ではそうではなくなっています。
では、どのようになっているのかというと、手術後には早めに退院して通院で治療を行うようになっていっています。
入院患者数と通院患者数の推移
実際に入院患者数と通院患者数がどのように変化していっているのかを見てみます。
データの数が多くなるため、ここでは「悪性新生物(がん)」のデータを用います。
先程と同じ厚生労働省の患者調査によると、平成17年から平成26年調査の間で次のように人数が推移しています。
疾病分類 | 平成17年 | 平成20年 | 平成23年 | 平成26年 |
---|---|---|---|---|
入院患者数 | 169,800人 | 159,200人 | 150,600人 | 144,900人 |
外来(通院)患者数 | 204,600人 | 218,200人 | 219,900人 | 231,600人 |
これを図で見てみると入院患者数が減少し、通院患者数が増加しているのが良く分かります。
このように、入院患者数は減り、それに反比例して通院患者数が増えています。
このことから言えるのは「通院保障」の重要性が増しているということです。
通院保障は、退院後に行う通院での治療を保障してくれます。
(一部、入院前の通院も保障してくれるものもあります。)
通院治療を行うのにも治療費や交通費がかかります。
今後、通院で治療を行う傾向がさらに進めば、通院で治療を受けた際に保障が受けられるかどうかというのは非常に重要なポイントになります。
このような点から、長い目で見た際に、JA共済の医療共済に通院保障が付いていないというのは1つの不安材料になってしまうといえます。
払い込む保険料総額を比べてみると違いが大きい
終身保険と言えども保険料はさまざま
JA共済の医療共済と、メットライフ生命のフレキシィ Sはどちらも終身タイプの医療保険です。
でも、同じ終身医療保険でも保険料を比べてみるとそれぞれ全く違います。
今回比較した際のそれぞれの1か月あたりの保険料は次のとおりです。
- JA共済「医療共済」(99歳まで支払い):月4,453円
- メットライフ生命「フレキシィ S」(終身払い):月2,401円
このように1か月あたりの保険料を見てみても違いが大きいですが、これが払い込む保険料の総額で見てみると更に違いが大きくなります。
JA共済「医療共済」の払い込む保険料総額
JA共済の医療共済の保険料総額を計算してみます。
先程の条件では、35歳で加入して99歳まで保険料を払い続ける必要があります。
そのため、保険料を支払う期間としては64年間となります。
4,453円×12か月×64年間=3,419,904円
JA共済の医療共済に35歳で加入した場合、払い込む保険料総額は約342万円となりました。
メットライフ生命「フレキシィ S」の払い込む保険料総額
メットライフ生命のフレキシィ Sの保険料総額を計算します。
保険料の支払いが終身払いとなっているため、JA共済の場合と条件をそろえて99歳で亡くなるまで保険料を支払ったという条件で計算してみます。
そのため、払込期間は64年間となります。
2,401円×12か月×64年間=1,843,968円
メットライフ生命のフレキシィ Sに35歳で加入して99歳まで保険料を支払った場合、払い込む保険料総額は約184万円となりました。
保険料総額の差はいくら?
支払う保険料総額が分かったところで、それらの差額を計算してみます。
3,419,904円(JA共済)-1,843,968円(フレキシィ S)=1,575,936円
なんと、差額は約158万円にもなりました。
保険期間全体で見た場合、支払う保険料にこれだけの差があります。
もちろん、それぞれ保障内容に若干の差はあります。
保障内容に158万円分の差があるかと言われると、私個人はそのような差はないと考えます。
このように、同じ終身タイプの医療保険でも保障内容にそこまで大きな違いが無かったとしても、保険料には非常に大きな違いがあります。
JA共済とメットライフ生命のメリットとデメリットのまとめ
JA共済のメリットとデメリット
メリット
- 入院給付の保障日数の選択肢が多い
- 入院見舞金制度があり入院保障が手厚い
- 身近なところに窓口があるため対面での相談がしやすい
デメリット
- 通院保障が存在しない
- 保険会社の医療保険と比べると保険料が割高
メットライフ生命のメリットとデメリット
メリット
- 通院保障が保障内容に含まれている
- 先進医療保障の通算金額が多い
- TPECの健康相談サービスが無料で付いている
- 保険料が安価
デメリット
- 入院給付日数の選択肢がJA共済より少ない
- 街中に直営の窓口がないため相談や質問は電話で行う
- 入院見舞金のような入院時の一時金はない
JA共済の医療共済と保険会社の医療保険ならどちらに入っておきたい?
入っておくなら保険会社の医療保険!
ここまでJA共済の医療共済とメットライフ生命のフレキシィ Sを比較してみてきました。
これらを踏まえて、どちらに入っておきたいかですが、結論としてはメットライフ生命のフレキシィ Sの方に軍配が上がります。
その理由は、次のとおり3点あります。
- 通院時の保障が付いている
- 先進医療保障や放射線治療が医療共済より充実している
- 充実した保障内容の割に保険料が安い
このような理由で、フレキシィ Sの方を選んでおきたいと考えました。
特に、通院保障の有無と保険料の違いは大きいです。
通院保障以外では保障内容にそこまで大きな違いがないため、同程度の保障が得られるのであれば安い方が良いのは間違いありません。
医療保険なら何でも良いわけじゃない!
1つ気を付けてほしいのは、保険会社の医療保険なら何でも良いというわけではないということです。
保険会社の医療保険の中には、通院保障が付いていなかったり、保険料が割高だったりするものもあります。
そのため、JA共済の医療共済と比べて、必ずしも保険会社の医療保険が優れているというわけではありません。
保険会社の医療保険を選ぶ場合には、総合的に保障内容と保険料を比較して選ぶ必要があります。
ぜひ、さまざまな医療保険を比較してみて、保障のバランスが良く納得のできる医療保険に加入してみてくださいね。
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