差額ベッド代は個室じゃなくても必要って本当?
差額ベッド代に備える必要って本当にある?
医療保険を選ぶときに「差額ベッド代に備える必要がある」と聞きました。
でも、差額ベッド代って個室料金のことですよね?
私は数人の部屋でも我慢できると思うので、本当に差額ベッド代が必要か疑問です。
こんにちは!
保険大好きサラリーマン兼ファイナンシャルプランナーの吉田です。
突然ですが、あなたは「病院で個室になると別料金がかかる」と思ってはいないでしょうか?
もしくは、「数人の病室なら追加料金がない」とも思ってはいないでしょうか?
実は、病室の追加料金にあたる「差額ベッド代」って個室じゃなくても必要なんです!
この点はとても勘違いされがちなんですが、実は差額ベッド代は個室料金のことではありません。
そのため、「自分は大部屋でも大丈夫だから差額ベッド代への備えは必要ない!」と考えてしまっていると、いざ入院した際に予定外の出費が生じてしまうことがあります。
ただでさえ不安な入院時に、予定外のお金の不安まで発生してしまったら目も当てられません。
そうならないために、入院時の費用の不安はできるだけ解消しておく必要があります。
そこで、このページでは、差額ベッド代について分かりやすく説明します。
それでは、ご覧ください!
差額ベッド代はなんと4人部屋でも必要!
そもそも差額ベッド代とは?
まず、差額ベッド代がどのようなものであるのか説明します。
病院のベッドについては、国がその設置基準を決めています。
そして、そのベッドを利用する際には、健康保険が適用になり自己負担は3割で済む仕組みとなっています。
その料金は病院で勤務している看護師の人数によって変わってきますが、国が料金を決めています。
対して、国のベッド設置基準よりも豪華な基準でベッドを設置している場合には、国の料金に加えて追加料金を徴収することができます。
それが「差額ベッド代」です。
「差額」とは、「通常のベッド代と豪華なベッド代との差額」を表しています。
病院独自の豪華な病室使用料 - 健康保険適用のベッド料 = 差額ベッド代
そして、その差額ベッド代については全額自己負担(10割負担)となっています。
差額ベッド代の基準=個室料金じゃない理由
差額ベッド代がかかる部屋の基準は、厚生労働省の通知により示されています。
その通知の中で「特別療養環境室」として、差額ベッド代を徴収することができる病室の基準が定められています。
特別療養環境室の条件
- 特別の療養環境に係る一の病室の病床数は4床以下であること。
- 病室の面積は1人当たり6.4平方メートル以上であること。
- 病床ごとのプライバシーの確保を図るための設備を備えていること。
- 少なくとも下記の設備を有すること。
- 個人用の私物の収納設備
- 個人用の照明
- 小机等及び椅子
【出典】厚生労働省『「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について』(リンク先PDF)
この中でのポイントは「病室の病床数は4床以下であること。」という点です。
これは、差額ベッド代が必要になる部屋の要件としてベッドが4台以下であることを示しています。
この点から、差額ベッド代=個室料金ではないことが分かります。
最大で4人部屋であっても差額ベッド代が必要となります。
実のところ差額ベッド代はいくらくらいかかるのか
差額ベッド代は病院が自由に設定できる
続いては、差額ベッド代がどの程度の金額になるのかという点です。
これについては、基準はありません。
差額ベッド代は各病院が自由に設定することができます。
そのため、設定しようと思えば1室数十万円という高額な料金設定をすることも可能です。
実際に、福岡県にある小倉記念病院では、特別室の料金が388,000円となっています。
(超高額ですが、実際の写真を見てみると納得の料金です。)
ただ、気になるのは差額ベッド代の平均的な料金です。
これについては、厚生労働省の諮問機関である「中央社会保険医療協議会」の資料に平均値が掲載されています。
少し前の平成24念のデータとなりますが、そのデータを引用すると次のようになっています。
差額ベッド代の平均値(平成24年7月1日現在)
合計病床数 | 1日当たりの差額ベッド代 | |
---|---|---|
1人室 | 168,037室 | 7,478円 |
2人室 | 51,801室 | 3,043円 |
3人室 | 5,417室 | 2,704円 |
4人室 | 33,740室 | 2,325円 |
平均 | 5,820円 |
【出典】中央社会保険医療協議会主な選定療養に係る報告状況(リンク先PDF)
あくまで平均値ですが、金額の感覚値としては以上のようになります。
やはり、一人部屋になると1日当たりの差額ベッド代も結構高額になります。
また、ベッド数を見てみると4人部屋が意外と多いこともお分かりいただけるかと思います。
この点から、個室以外で差額ベッド代が徴収されることもあり得ることが分かります。
差額ベッド代は必ず必要になるわけではないが「同意書」には要注意
差額ベッド代は患者の同意があった場合に適用される
差額ベッド代を考える上で注意したいのは、差額ベッド代の基準に合致した部屋に入る場合には絶対に差額ベッド代が必要になるというわけではないという点です。
病院が、患者に差額ベッド代を提供できるのは、患者が「同意書」に署名した場合のみです。
差額ベッド代を巡っては、病院と患者の間でトラブルに発展することがあります。
そのため、厚生労働省は差額ベッド代を請求指定はいけない場合について、先ほどの通知の中で示しました。
患者に特別療養環境室に係る特別の料金を求めてはならない場合
- 同意書による同意の確認を行っていない場合(当該同意書が、室料の記載がない、患者側の署名がない等内容が不十分である場合を含む。)
- 患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合
- 病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択によらない場合
【出典】厚生労働省『「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について』(リンク先PDF)
このように、3つの場合が挙げられています。
具体的にどのような場合が該当するのかについて、具体的に見てみます。
差額ベッド代が適用にならない場合を具体的に見てみよう
同意書による同意の確認を行っていない場合
まずは、同意書による確認を行っていない場合です。
ただ、こちらについては、同意書による同意を行わない場合というのはほとんどありません。
気を付けないといけないのは、入院の手続きを行う際に流れで同意書に署名をしてしまっていた場合です。
この場合には、よく読んでいなかったとしても、同意書としての要件が整ったものに署名をしていれば支払いを拒むのは難しいでしょう。
そのため、病院の書類に署名をする際には内容をしっかりと確認しましょう。
患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合
『患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合』とは、治療上個室に入院する必要があるというような場合です。
例えば、次のような場合が挙げられます。
- 病状が重篤で絶対的安静を必要とする場合
- 免疫力が低下しており、他の患者等からの感染症にり患する恐れがある場合
- 集中治療の必要がある場合
このような場合には、差額ベッド代が必要な病室を利用したとしても、差額ベッド代の請求をしてはいけないことになっています。
病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択によらない場合
「病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合」とは、病院が、ほかの患者等への影響を考え自発的に差額ベッド代が必要な病室に入院させた場合です。
これは例えば、感染能力の高い疾病にり患している患者を、他の患者への院内感染を防ぐために1人部屋に入院させるような場合です。
差額ベッド使用の必要性が解消した後の継続にも同意が必要
先ほどの通知内の2または3のような「治療上の必要」が解消して、差額ベッド代が必要な病室を継続使用する必要性が無くなった後に、引き続いてその病室を使用する場合には、病院は同意書による同意を得ることが必要とされています。
そのため、同意書への署名を求められずに、差額ベッド代の継続使用料を請求された場合には、それを拒否することができます。
このように、差額ベッド代が請求される場合の根拠として「同意書」への署名が重要となりますので、署名を行う際にはしっかりと内容を確認してから行うようにしましょう。
差額ベッド代で困ることがないようしっかり確認を行おう
入院時に経済面で困ることがないように
入院時に避けたいのは、経済的な面で困窮することです。
ただでさえ、病気やケガでつらい思いをしているのに、それに輪をかけて経済面でつらい思いをするのはとても大変です。
(私の父はがんで入退院を繰り返しましたが、しっかりと保険に入っていてくれたおかげで経済面の不安が少なくて済み、精神的にかなり救われました。)
よくわからずに差額ベッド代の同意書に署名してしまい、いざ支払いを請求されてから「知らなかった!」や「こんなはずではなかった!」となってしまっては目も当てられません。
そうならないよう、差額ベッドの使用に関する書類はしっかりと確認するようにしましょう。
差額ベッド代に備えるには医療保険
ここまでご紹介したように、差額ベッド代は全額自己負担となります。
そのため、健康保険の3割負担とは別にお金が必要となります。
こうした差額ベッド代等の自己負担額に備える際に役に立つのが医療保険です。
医療保険の入院給付金を利用することで、1日ごとに必要となってくるさまざまな入院時の費用に備えることができます。
ぜひ、差額ベッドのことを頭の片隅に入れながら、さまざまな医療保険を比較してみてください。
きっと、入院給付金の必要性が見えてくるはずです。
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