がん保険の先進医療保障は必要?
がん保険の特約を検討しているんですが、先進医療保障を付けておく必要はありますか?
医療保険で先進医療保障を付けているのですが、がん保険の先進医療保障とは何か違うのでしょうか?
あと、そもそも先進医療って何なんですか?
こんにちは!
ファイナンシャルプランナー兼サラリーマンのFP吉田です。
「先進医療保障」は、医療保険やがん保険では当たり前の保障となりました。
さて、そんな先進医療保障ですが、ぜひ付けておきたいです。
がんに備えるのであれば、なおさら重要な保障です。
ただし、医療保険ですでにつけている場合には、付けても付けなくてもどちらでも大丈夫です。
ただ、付ける場合には抑えておきたいポイントもあります。
このページでは、がん保険の先進医療保障について、その必要性と医療保険との保障の重複について説明します。
それでは、はじめましょう!
そもそも、先進医療保障とは?
先進医療の技術料を保障するのが先進医療保障
先進医療保障=技術料と同額(+15万円等の一時金)
まず、先進医療保障の内容を説明していきます。
先進医療保障とは、厚生労働大臣がしていする先進医療を用いた治療を受診した際に、その治療費を全額保障してくれるものです。
先進医療は、自己負担で受けることになるため、内容によっては300万円近い治療費が必要になります。
ただ、先進医療保障を付けていれば、そうした治療費分が全額給付されます。
がん保険の先進医療保障では、がん治療を目的とした先進医療を用いた治療を受けた際に保障の対象となります。
なお、治療費分は全額給付となりますが、保険期間全体を通して1,000万円~2,000万円までの上限が設けられています。
また、がん保険によっては、技術料同額に加えて5万円~15万円程度の一時金が支払われるものがあります。
これは、先進医療を受ける際に必要となる交通費や宿泊費への補てんを目的として設定されています。
そもそも先進医療とは?
そもそも先進医療がどんなものであるのかを簡単に説明します。
先進医療とは、効果や安全性があることは認められている新しい治療方法について、健康保険適用の治療方法にするかどうかを検討するために、厚生労働大臣が特別に指定した治療法です。
先進医療の大きな特徴は、日本では原則禁止されている混合診療が許されている点です。
混合診療とは、全額自己負担の自由診療と、健康保険がきいて3割負担で済む保険診療を併用した治療方法の事です。
日本では法律で混合診療が禁止されています。
しかし、先進医療による治療を受ける際には、次のように自己負担と健康保険適用を混ぜて治療を受けることができます。
- 先進医療を用いた治療:自己負担(自由診療)
- 事前検査やその後の診察:健康保険適用(保険診療)
日本では、先進医療や、インフルエンザワクチンなどの予防接種、差額ベッド代等ごく一部のものでのみ混合医療が認められています。
がん治療に関する先進医療にはどんなものがある?
がん保険に関する先進医療は「重粒子線治療」と「陽子線治療」
がん治療に用いられる先進医療で有名なものが「重粒子線治療」と「陽子線治療」の2つです。
「重粒子線治療」と「陽子線治療」は放射線治療の一種です。
ただ、治療に用いる粒子が通常のものとは異なります。
非常にざっくりと説明すると、通常の放射線治療では、粒子をがん細胞に向けて照射し、がん細胞の核を破壊します。
ただ、がん細胞に粒子が到達するまでに通常の細胞も傷つけてしまい、またがん細胞の周りの細胞も破壊される恐れがあります。
重粒子線治療と陽子線治療も原理は同じなのですが、用いられる「重粒子」と「陽子」の性質が通常の放射線治療の粒子とは異なります。
それにより、人体に与えるダメージを最小限に抑えつつも、がん細胞の核を破壊することができます。
治療費が高額
「重粒子線治療」と「陽子線治療」は従来の放射線治療より、効果が高いとされています。
ただ、実施するための機器が高額であり、高い技術を持つ一部の機関でしか受診できないことから治療費が非常に高額となります。
医療機関によって金額に違いはありますが、平均額はこのような金額になっています。
- 重粒子線治療:約309万円(3,0953,057円)
- 陽子線治療:約276万円(2,760,022円)
【出典】厚生労働省『平成28年度先進医療技術の実績報告等について』
先進医療を用いた治療は108種類ありますが、その中でもこの2つは突出して高額です。
ただ、がん治療においては人気のある先進医療となっており、受ける可能性も十分に考えられるものです。
(どちらの治療法も、年間1,700件~2,000件実施されています。)
そのため、いざ受けることになった際に困ることのないよう、備えておく必要があります。
余談:先進医療から保険診療になった例もある
ここからは余談ですが、もともとがん治療で先進医療扱いだった治療が、有効性などが認められ、健康保険適用の治療方法となったものもあります。
- 子宮がん:腹腔鏡下子宮体がん根治術
- 前立腺がん・腎臓がん:ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術(ダ・ヴィンチ手術)
重粒子線治療や陽子線治療も保険適用の検討の議題には上がっていますが、まだ小児がんなど一部の場合にしか保険適用とはなっていません。
医療費財源の問題もあるようですが、健康保険適用となってくれるのを願うばかりです。
すでに医療保険で先進医療保障がある場合にはどうすれば良い?
医療保険の先進医療とがん保険の先進医療の違い
続いては、医療保険とがん保険の先進医療保障の違いを説明していきます。
医療保険とがん保険の先進医療保障での違いは、対象となる先進医療保障の範囲です。
これは、医療保険とがん保険そのものの違いが関係しています。
医療保険は全ての疾病を対象とした保険です。
そのため、医療保険の先進医療保障は、全ての疾病に対する先進医療による治療費を保障対象としています。
対して、がん保険はがんを対象とした保険です。
より正確には、がん保険はがんのみを対象とした医療保険です。
そのため、がん保険の先進医療保障は、がん治療に関係する先進医療による治療費のみを保障対象としています。
医療保険の先進医療保障でがん保険の分も代用できるが…
もしすでに医療保険で先進医療保障があるのであれば、あえてがん保険で付けなくても問題ありません。
医療保険の先進医療保障で、がん治療の先進医療も保障対象となります。
ただ、重複して付けても特に問題はありません。
もし、それぞれ違う保険会社の「医療保険」と「がん保険」に入っている場合、先進医療を受けた際にはそれぞれの保険から先進医療給付を受け取ることができます。
そのため、金銭面的には非常に助かります。
この場合に重要なのは「それぞれ違う保険会社の」という点です。
同じ保険会社の「医療保険」と「がん保険」に入っていた場合には、どちらか一方からしか給付は受けられません。
違う保険会社の医療保険とがん保険に入っている場合
- A社の医療保険:先進医療給付OK
- B社のがん保険:先進医療給付OK
同じ保険会社の医療保険とがん保険に入っている場合
- A社の医療保険:先進医療給付OK
- A社のがん保険:先進医療給付NG
このような違いがあるため、もし別々の保険会社で医療保険とがん保険に加入する場合には、両方に先進医療保障を付けるという選択肢もありでしょう。
先進医療保障は特約料も100円程度と安いため、さほど大きな負担にはなりません。
(ただし、ごく一部、他の保険会社で給付を受けている場合には重複給付を受けられないものもありますので、事前に約款等でご確認くださいね。)
先進医療保障を付ける場合の注意点
特約の保障期間に注意
先進医療保障を付ける場合の注意点は、保障される期間です。
先進医療保障には、保険会社によって次の2つの保障期間のものがあります。
- 終身保障(一生涯)
- 10年更新
終身保障の先進医療保障は、一生特約料金が上がることはありません。
対して、10年等の定期更新型の先進医療保障は、更新のたびに特約料が値上げされる可能性があります。
現状は、更新時でも値上げがないか、数十円程度しか値上げされてはいません。
ただ、今後どうなっていくかは分かりません。
先進医療保障が今よりもはるかに一般的になり、多くの人が利用するようになれば、特約料が値上げされることはあり得ます。
そのため、先進医療保障を付ける場合には、終身タイプのものを付けておきたいです。
がん治療にこそ先進医療保障は必要
ここまでご説明してきた通り、先進医療保障は自費となる高額な治療費を保障してくれるものです。
そして、がん治療の先進医療保障はとても高額となります。
そのため、がん治療にこそ先進医療保障は必要なものです。
ただ、医療保険に先進医療保障がある場合には、そちらでもがん治療時の先進医療の治療費の給付を受けることができます。
そのため、医療保険に先進医療保障があるなら、無理にがん保険で重複して付けなくても問題はありません。
このように、がん治療時の先進医療は、がん保険の先進医療保障以外でも保障対象となります。
ぜひ、特約料や保障内容を見比べてみながら、がん保険に先進医療保障を付けるかどうか選んでみてくださいね。
治療の変化に合わせたがん保険選びのポイント!
がん保険の保障は何を重視すれば良い?
がん保険は「診断給付・入院給付・治療給付」のどれをメインの保障とするかによって3つのタイプがあります。メインの保障として何を重視すれば良いのか説明します。