特定疾病保障保険とはどんな保険?
病気でも保険金が支払われる終身保険があると聞きました。
病気にも備えられて良さそうなのでそれも検討してみようと思うのですが、どんな保険なんですか?
こんにちは!
ファイナンシャルプランナー兼サラリーマンのFP吉田です。
通常、終身保険と言えば「死亡保障」がメインの保険です。
ただ、それに加えて特定の病気で保険金が支払われるものもあります。
そうした保険を「特定疾病保障保険」と言い、取り扱いを始める保険会社が増えてきています。
このページでは、特定疾病保障保険の特徴や、通常の終身保険と比べた場合の保険料などをご紹介していきます。
では、はじめましょう!
死亡+病気に備える特定疾病保障保険
先ほどご説明したとおり、特定疾病保障保険は「死亡保険」に「特定疾病の保障」を追加したものです。
なお、特定疾病というのは次の3つのことを指します。
- がん(悪性新生物)
- 急性心筋梗塞
- 脳卒中
ただ、これらの病気になっただけでは給付対象とはなりません。
これら3つの病気で所定の状態に該当した場合に保険金が給付されます。
対象疾病 | 適用条件 |
---|---|
がん (悪性新生物) |
初めて「がん」と診断確定を受けた時 |
急性心筋梗塞 | 以下のいずれか ①治療を目的とした「手術」※ ②医師による60日以上の労働制限の診断 |
脳卒中 | 以下のいずれか ①治療を目的とした「手術」※ ②医師による60日以上の言語障害等の診断 |
※「手術」の有無が重要!
なお、気を付けていただきたいのは、※を付けた「手術」についてです。
保険会社により、急性心筋梗塞と脳卒中の条件に「手術」が含まれる場合と、含まれない場合があります。
「手術」が含まれない場合、給付が行われるのは「60日以上の制限」に該当した場合のみとなり、格段に条件が厳しくなります。
そのため、特定疾病保障保険を選ぶ場合には、急性心筋梗塞と脳卒中の条件に「手術」が含まれているかどうかが重要となります。
「終身タイプ」と「定期タイプ」を選べる場合がある
特定疾病保障保険は、保障が一生続く「終身タイプ」であることが多いです。
しかし、中には「終身タイプ」と「定期タイプ」のどちらかを選べるものもあります。
終身タイプと定期タイプを比べた場合、次の3つの違いがあります。
- 保障期間
- 解約返戻金の有無
- 保険料
違い | 終身タイプ | 定期タイプ |
---|---|---|
保障期間 | 一生 | 特定の期間 (更新して延長可能) |
解約返戻金の有無 | 有り (貯蓄性有り) |
無し (貯蓄性無し) |
保険料※ | 高い 例:13,000円 |
安い 例:3,500円 |
※保険料例は、30歳男性が500万円の保障を付ける場合の例
定期タイプは「がん保険+死亡保険」として使える
上記のように、終身タイプと定期タイプでは保障の条件が大きく異なります。
ただ、定期タイプの特徴を見ていくと、がん保険+死亡保険のように使えることが分かります。
保障対象の3つの疾病のうち、最も給付条件がやさしいものは「がん(悪性新生物)」です。
がんと診断確定した時点で給付が受けられます。
実は、この「がんと診断確定で給付」というのは、がん保険の「がん診断一時金」と同じ条件となっています。
がん診断一時金は、がん保険のメインともいえる最も重要な保障です。
特定疾病保障保険に加入しておけば、がんになった時にはがん保険と同様の給付が受けられ、がん以外の2つの病気が原因で死亡した場合には死亡保険金を受け取ることができます。
「がん保険+死亡保険」のように使うことができるのです。
なお、「定期タイプ」と限定したのは、終身タイプにしてしまうと、がん保険の代わりとして考えるには保険料が高くなってしまうからです。
もし終身タイプが良い場合には、あくまで死亡保障をメインで考えた方が良いでしょう。
通常の「終身保険」と比べて保険料はどのくらい違う?
では続いて、終身タイプの特定疾病保障保険を、終身保険と比べた場合にどの程度保険料に違いがあるのかを見てみます。
なお、比較は同じ「オリックス生命」の保険で行います。
また、保険料は以下の条件で算出しています。
- 死亡保障額:500万円
- 保険料払込:60歳まで
- 特約:無し
なお、終身保険である「RISE」の保障対象は死亡+高度障害状態です。
特定疾病保障保険である「With」の保障対象は死亡+高度障害状態+三大疾病となっています。
保険のタイプ | 【終身保険】 | 【特定疾病保障保険】 | ||
---|---|---|---|---|
オリックス生命 RISE(ライズ) |
オリックス生命 With(ウィズ) |
|||
性別 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 |
30歳 | 10,920円 | 10,365円 | 12,595円 | 12,320円 | 40歳 | 17,470円 | 16,580円 | 20,100円 | 19,470円 | 50歳 | 37,690円 | 35,865円 | 42,505円 | 40,065円 |
特定疾病保障保険であるWithは保障対象が「死亡保障+三大疾病への保障」となっているため、通常の終身保険よりは保険料が高くなります。
おおむね10%~15%程度高くなっています。
特定疾病保障保険はどんな場合に選びたい?
ご紹介してきた特定疾病保障保険ですが、正直なところ、この保険を積極的に選びたい場合と言うのはあまり多くありません。
特定疾病保障保険を選ぶかどうかは、あくまで「病気への備えがほしいかどうか」がポイントです。
もしすでに医療保険やがん保険に加入しているのであれば、あえて選ぶ必要は無いでしょう。
その場合には、通常の終身保険の方を選びたいです。
また、死亡保障や保険を使っての貯蓄をメインに考えたい場合にも、終身保険の方を検討することをおすすめします。
終身保険の方が安い保険料で備えることができます。
病気に対する保険が全くない方の場合には検討してみてもよさそう
このように見ていくと、特定疾病保障保険を選びたいのは次のような場合です。
- 病気への備えがない
- 給付はまとまった金額が良い
- 死亡保障も確保したい
この全てに当てはまる場合には、加入を検討してみても良いでしょう。
1つの保険で、病気と死亡に備えることができます。
ただし、やはりすでに「医療保険」や「がん保険」に加入しているような場合には、あえてこの保険を選ぶ必要はなさそうです。
特定疾病保障保険を検討される際には、その辺を踏まえて必要性を考えてみてくださいね。