社会保険で受けられる税の控除とは?
年末調整や確定申告で忘れてはいけないのが「社会保険料控除」です。
社会保険料控除は、健康保険や年金等の保険料(掛金)を所得税や住民税の計算上で控除する制度です。
そんな社会保険料控除についてご説明します。
社会保険料控除の対象は大きく分けると2種類
社会保険料控除の対象となるのは、大きく分けて次の2つです。
- 健康保険(国民健康保険、協会けんぽなど)
- 公的年金(国民年金、共済年金など)
健康保険の社会保険料控除
まずは「健康保険」です。
こちらは、いわゆる保険証を利用するための社会保険料です。
健康保険の社会保険料控除は、加入している健康保険制度により行うことが変わります。
- 協会けんぽなどの会社で加入する健康保険の場合
- 国民健康保険の場合
1.協会けんぽなどの会社で加入する健康保険の場合
「協会けんぽ」や「組合健保」または「共済組合」等、勤務先で加入する健康保険に加入している方の場合、年末調整で特に社会保険料控除の手続きを行う必要はありません。
勤務先が控除額を把握しているため、自動的に計算を行ってくれます。
2.国民健康保険の場合
市区町村が保険者となる「国民健康保険」に加入している方の場合には、年末調整や確定申告で社会保険料控除の申告が必要です。
ただし、生命保険料控除とは異なり、保険料を証明する証明書の添付は必要ありません。
自分がその年に支払った社会保険料額を、社会保険料控除の欄に記入するだけです。
なお、ご自分がその年に支払った社会保険料額が分からない場合には、市区町村に問い合わせると教えてもらうことができます。
また、毎年6月にその年に支払う予定の社会保険料額を記した書類がご自宅に届いているはずなので、それを基に計算することも可能です。
公的年金の社会保険料控除
続いては「公的年金」です。
こちらは、65歳から受給することができる年金制度の掛け金としての社会保険料です。
(個人年金保険とは別です。)
こちらも、健康保険の場合と同様に、加入している年金制度により対応が異なります。
- 厚生年金の場合(旧:共済年金も含む)
- 国民年金の場合
1.厚生年金の場合(旧:共済年金も含む)
お勤め先で加入する厚生年金の場合には、特段の手続きは必要ありません。
協会けんぽなどの健康保険の場合と同様に、勤務先が控除額を把握しているため、自動的に控除が行われます。
2.国民年金の場合
国民年金に加入している方の場合には、年末調整や確定申告での自己申告が必要となります。
申告にあたっては、証明書を添付する必要があります。
毎年、11月初旬頃になると、日本年金機構からその年に支払った社会保険料額を記した証明書が自宅に届きます。
こちらの証明欄を年末調整や確定申告で添付します。
注意点は、証明書を真ん中で切り取らないということです。
切り取ってしまうと証明書が無効になってしまうため、再発行を行うことになります。
年末調整と確定申告での記入欄
社会保険料控除を利用する際には、年末調整または確定申告で「社会保険料控除」の欄に、その年に支払った金額を記入します。
年末調整の場合
年末調整では、「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」(保険料控除申告書とも言います。)の右下に記入欄があります。
ここに、健康保険と公的年金をそれぞれ記載します。
確定申告の場合
確定申告では、申告書の左下付近に記載します。
なお、2枚目の第二表に、年末調整と同様に内訳を記入する欄が設けられています。
社会保険料控除は生命保険料子所よりもお得度が高い
年末調整では、生命保険に加入している場合に、その保険料の一部が所得から控除される生命保険料控除制度があります。
生命保険料控除はそれはそれで利用するに越したことはない制度です。
ただ、控除額のお得度という意味では、社会保険料控除の方が上です。
生命保険料控除では、控除される金額に上限が設けられています。
しかし、社会保険料控除は支払った保険料や掛金が全額所得から控除されます。
そのため、税金計算のもととなる所得額を圧縮する効果が高いのです。
会社等にお勤めの方はご自分で記入する機会はほぼないと思いますが、個人事業主の方や、国民年金や国民健康保険に加入されている方は、必ず忘れずに記入してみてくださいね。
なお、年末調整や確定申告そのものの仕組みについては、以下のページでご紹介しています。
あわせてご覧いただければ幸いです。